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マウスピース矯正中の食事ガイド|正しい外し方と注意点

マウスピース矯正中の食事に関する基本ルール

マウスピース矯正を始めると、多くの患者さんが食事に関する不安を抱えます。「食事のたびに外すのが面倒ではないか」「外食はどうすればいいのか」といった疑問は当然のことです。

しかし、いくつかの基本ルールを守れば、マウスピース矯正中でも普段通りの食事を楽しむことができます。最も重要なのは「食事の際は必ずマウスピースを外す」というシンプルなルールです。

このルールには3つの重要な理由があります。まず、マウスピースは精密に作られていますが、硬いものを噛む力に耐えられるほど頑丈ではありません。装着したまま食事をすると、ひび割れや変形の原因となります。

次に、装着したまま食事をすると、食べかすがマウスピースと歯の間に閉じ込められ、虫歯や歯周病のリスクが高まります。最後に、カレーやコーヒーなどの色の濃い食べ物・飲み物は、透明なマウスピースを黄ばませてしまいます。

当院では、マウスピース矯正を始める患者さんに、食事の際の基本的な流れを「4つのステップ」としてお伝えしています。この習慣が身につけば、食事に関する悩みはほとんど解消されるでしょう。

マウスピース矯正中の食事の正しい流れ

マウスピース矯正中の食事は、以下の4つのステップで行うことをお勧めします。これを習慣化することで、治療効果を最大限に引き出しながら、快適な食事時間を確保できます。

STEP1:マウスピースを正しく外してケースに保管する

食事の直前にマウスピースを外し、必ず専用のケースに保管しましょう。ティッシュに包んだり、テーブルに直接置いたりすると、紛失や破損の原因になります。

マウスピースの正しい外し方には、実はコツがあります。奥歯の内側に人差し指の爪を引っかけ、ゆっくりと上顎は下に、下顎は上に引っ張ります。「パコッ」と音がするまで慎重に外しましょう。

前歯から外そうとすると、マウスピースが変形したり、歯に付けたアタッチメント(小さな突起)が取れたりする可能性があります。必ず奥歯から外すことを心がけてください。

STEP2:食事を自由に楽しむ

マウスピースを外している間は、基本的に何を食べても問題ありません。ワイヤー矯正と違って食べ物が装置に絡まる心配がなく、硬いものや粘着性のあるものでも気にせず楽しめるのが、マウスピース矯正の大きな魅力です。

ただし、矯正中は歯が動いている途中のため、かみ合わせが一時的に悪くなっていることがあります。特に歯ぎしりや食いしばりの強い方は、硬いものを勢いよく噛むと歯が欠けたり、最悪の場合は折れて抜歯になってしまうこともあるので注意が必要です。

STEP3:食後は必ず歯を磨く

食べ終わったら、歯磨きをしてお口の中を清潔にします。食べかすが残ったままマウスピースを装着すると、虫歯の原因になるため、このステップは非常に重要です。

歯磨きの際は、歯の表面だけでなく、歯間や歯ぐきの境目まで丁寧に磨きましょう。フッ素入りの歯磨き粉を使用し、デンタルフロスや歯間ブラシも併用するとより効果的です。

マウスピース自体の洗浄も忘れずに行いましょう。流水で洗い、目立つ汚れがある場合は柔らかいブラシで軽く磨きます。熱湯で洗浄すると変形する恐れがあるので避けてください。

STEP4:マウスピースを再装着する

歯がきれいになったら、マウスピースを再び装着します。1日の装着時間(20時間以上が目安)をしっかり確保するためにも、食事が終わったらなるべく早く装着するよう心がけましょう。

マウスピースの装着は、前歯から奥歯に向かって行います。最後にチューイー(かみ合わせ確認用の小さな器具)をかんで密着させると、より効果的です。

外食や飲み会でのマウスピース矯正の対処法

自宅での食事は習慣化しやすいですが、外食や飲み会ではどうすればよいのでしょうか。シーン別の対処法を知っておけば、スマートに対応できます。

外食時の対応方法

外食先でマウスピースを外す際は、お手洗いなどを利用して、人目を気にせず着脱するのがおすすめです。食事前にお手洗いでマウスピースを外し、専用ケースに保管します。

食事が終わったら同じくお手洗いで歯を磨いてから再装着しましょう。もし歯磨きが難しい状況であれば、最低限、強めにうがいをするだけでも違います。外出時には、マウスピースケース、携帯用歯ブラシ、歯磨き粉、デンタルフロスなどを持ち歩くと安心です。

飲み会での対応策

友人との楽しいおしゃべりや、会社の付き合いも大切にしたいですよね。だらだらと長時間飲食すると装着時間が短くなってしまうため、「食べる時、飲む時だけ外す」とメリハリをつけるのがおすすめです。

乾杯の時だけは参加し、その後は自分のペースで食事を楽しむなど、工夫してみましょう。また、飲み会の前後で装着時間を少し長くするなど、その日のスケジュールを調整するのも一つの方法です。

飲み会では、周囲の目が気になる方もいるでしょう。信頼できる友人には事前に矯正中であることを伝えておくと、気兼ねなくマウスピースの着脱ができるようになります。

私も患者さんから「飲み会でマウスピースを外すのが恥ずかしい」という相談を受けることがあります。そんな時は「健康のために必要なことですよ」と伝えています。実際、周囲の方は思ったほど気にしていないものです。

間食(おやつ)の対応方法

マウスピース矯正中は、間食のたびに着脱と歯磨きが必要になります。「ちょっと一口だけ」というダラダラ食べは、装着時間が短くなる一番の原因です。おやつは時間を決めて、まとめて食べるようにすると管理しやすくなります。

特に甘いお菓子や炭酸飲料は、マウスピースを装着したまま摂取すると虫歯リスクが非常に高まります。どうしても間食が必要な場合は、マウスピースを外し、食後に歯磨きをしてから再装着する習慣をつけましょう。

マウスピースを装着したまま飲める飲み物と避けるべき飲み物

マウスピース矯正中の飲み物選びも重要なポイントです。基本的には食事と同様に外すことが推奨されますが、例外もあります。

マウスピースを装着したまま飲める飲み物

マウスピースを装着したまま飲めるのは、基本的に「常温の水」のみです。水であれば歯を傷める心配がなく、マウスピースの変色も起こりません。

ただし、冷たすぎる水や熱い飲み物は、マウスピースの変形を引き起こす可能性があるため避けましょう。また、長時間水を含んだ状態でいると、唾液の洗浄作用が低下し、虫歯リスクが高まることもあります。

マウスピースを装着したまま飲んではいけない飲み物

以下の飲み物は、マウスピースを装着したまま飲むことは避けるべきです。

  • 着色性の強い飲み物:コーヒー、紅茶、赤ワイン、ジュースなどはマウスピースを変色させます。
  • 糖分を含む飲み物:清涼飲料水、スポーツドリンク、甘いお茶などは虫歯リスクを高めます。
  • 酸性の強い飲み物:炭酸飲料、柑橘系ジュース、お酢を含む飲み物は歯のエナメル質を溶かします。
  • アルコール飲料:口腔内を乾燥させ、唾液の減少により虫歯リスクが高まります。
  • 熱い飲み物:マウスピースの変形を引き起こす可能性があります。

これらの飲み物を飲む際は、必ずマウスピースを外し、飲み終わった後に口をすすいでからマウスピースを装着し直しましょう。特に糖分を含む飲み物は、マウスピースと歯の間に長時間留まると、虫歯の原因となります。

港区麻布・西麻布の歯医者・矯正歯科「ココロデンタル西麻布」|ユニット②

マウスピース矯正中によくある質問と対処法

マウスピース矯正を始めたばかりの方からよく寄せられる質問と、その対処法をご紹介します。

マウスピースの外し方が難しい場合はどうすればいい?

マウスピース矯正を始めたばかりの頃は、外し方に慣れていないため難しく感じることがあります。特に矯正開始直後は、歯に合わせて精密に作られたマウスピースがぴったり密着しているため、外しにくいのは当然です。

外し方のコツは、必ず奥歯の内側から外すことです。前歯から外そうとすると、マウスピースが変形したり、アタッチメントが取れたりする可能性があります。慣れないうちは鏡を見ながら行うと良いでしょう。

どうしても外せない場合は、無理に外そうとせず、当院にご相談ください。専用の器具を使って安全に外すお手伝いをします。数日経つと、自分で上手に外せるようになる方がほとんどです。

食後に歯磨きができない状況ではどうすればいい?

外出先で歯磨きができない場合は、最低限、水でしっかりうがいをしてから装着しましょう。可能であれば、ポータブルの歯間ブラシやフロスを使用して、食べかすを取り除くことをお勧めします。

また、洗口液(マウスウォッシュ)を持ち歩くのも効果的です。歯磨きができない場合でも、洗口液でうがいをすることで、口腔内の細菌を減らし、虫歯リスクを軽減できます。

帰宅後は必ず丁寧に歯磨きを行い、マウスピースも洗浄しましょう。一時的に歯磨きができなくても、その日のうちにケアを行えば問題ありません。

装着時間が足りない日があっても大丈夫?

基本的には1日20時間以上の装着が推奨されていますが、特別な日に装着時間が少し短くなっても、大きな問題にはなりません。ただし、装着時間が短い状態が続くと、治療効果が得られず、治療期間が延びる可能性があります。

装着時間が足りなかった日があった場合は、翌日以降に少し長めに装着するなど、調整するとよいでしょう。また、次のマウスピースに交換する際に、現在のマウスピースをもう数日長く使用することで、歯の動きを安定させることもできます。

特別なイベントや大切な会食など、どうしても装着時間が確保できない日があることは理解していますので、そのような場合は事前にご相談ください。

まとめ:マウスピース矯正中の食事を快適に楽しむために

マウスピース矯正中の食事は、いくつかの基本ルールを守ることで、普段通りに楽しむことができます。最も重要なのは、食事の際に必ずマウスピースを外し、食後に歯磨きをしてから再装着するという習慣です。

外食や飲み会などの特別な場面でも、事前に準備をしておけば問題なく対応できます。マウスピースケースや携帯用歯ブラシなどを持ち歩く習慣をつけましょう。

飲み物に関しては、マウスピースを装着したまま飲めるのは基本的に常温の水のみです。その他の飲み物は必ずマウスピースを外して飲みましょう。

マウスピース矯正は自己管理が重要な治療法ですが、正しい知識と習慣があれば、日常生活に大きな支障をきたすことなく、美しい歯並びを手に入れることができます。

当院ではマウスピース矯正を検討されている方に、詳しいカウンセリングと情報提供を行っています。不安や疑問がある方は、お気軽にココロデンタル西麻布までご相談ください。美しい笑顔のお手伝いをいたします。

詳しくはココロデンタル西麻布の公式サイトをご覧ください

著者情報

ココロデンタル 院長 小林 弘樹 Hiroki Kobayashi

経歴

2010年 日本大学歯学部卒業

2010年 日本大学歯学部附属歯科病院勤務

2011年 大崎シティデンタルクリニック勤務

2015年 麻布シティデンタルクリニック勤務

2017年 ココロデンタル恵比寿

2021年 ココロデンタル西麻布

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